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Anywhere Else
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Story
俺の意識が浮かび上がりかけた。清潔ですっきり乾いたどこかに流れていきそうになる。
―――嫌だ!
ほの暗く、ねっとりと湿った混濁の中に、再び自分を沈めていく。
―――俺は、もっと見たいんだ!
日ごろは取り澄ましている彼女たちが、周りに見せている姿ではなく。
彼女たちが心の奥底で見せたがっている姿を!そんな彼女たちを、俺は、もっと見たいんだ!
いつも眠ってばかりの影の薄い青年、眠木洋一(ねむき・よういち)。
内向的で、クラスメイトと会話することもなく、特に親しい友達もいない。
クラスの評価は『いっつも寝てる、地味なヤツ』。だが、洋一の見る夢がけっして地味ではないことを誰も知らない。
「ほぉら……もうこんなに濡れてる……」
「だめよ。そんな子のより……ね、こっち来てぇ」
夢の中で女たちは無思慮に肢体をはだけ、そして無防備に性癖をさらけ出す。
ああ、俺はこれこそが見たいんだ!
『本物を見たくはないか?』
―――!?
『おまえ、人の心に興味があるんだろ』
何かが俺の夢の中で語り出した。
『人が他人に見せている面の裏側が見たくてしょうがないんだろ』
『裏がなければ作ってでも、違う一面を見たいんだろ』
夢魔と名乗った奇怪な存在は、人を食った言動と姿で俺の願望をとうとうと語り出す。
『それができる能力、くれてやろうじゃないか』
唇が歪んだ。俺は笑っていた。
